行き詰まったアスリート向け「〜しない」トレーニング
スポーツの上達を考えるときに、どのアスリートもまずは技術の向上を考えます。
上手くなるために練習します。ただ、注意しなければならないのは、技術を高めようとするほど、逆に身体が動かなくなるケースがあるということです。
これは、特にベテランの選手で多く起こる現象です。
スポーツのメンタルトレーニングをしていて、調子が落ちている選手がよく使う言葉があります。
ゴルファーや野球選手でいえば、「芯を外した」という表現です。それがさらに強くなると、「何センチずれた」「何ミリずれた」ということになっていきます。ここまで感じられるというのは感性が鋭い証なのですが、少しでもズレることが許せなくなってくると技術へのこだわりが逆に感性を邪魔しはじめます。
理想のプレーはイメージできていても、身体がついていかないのです。本人は理想のプレーをしようとしてただ懸命に頑張っているのですが、理想という自分への期待は、身体を酷使する傾向が強いのです。
これは「技術依存」の状態です。
緊張した場面やここ一番で、普段の練習では見たこともないミスが出る。予想外の動きをする。身体が動かなくなる。
もちろん技術的にはいろいろな解説ができるでしょう。何が原因で、何を直せば良くなる。間違ってはいませんが、ただこれは、技術を過信しすぎて、技術に頼りすぎているのです。
20歳前後までは、自分がコントロールしようとすると、その通り身体が動いてくれます。だから、技術を向上さえすれば、理想のプレーが出来るようになると思いがちです。
しかし、ほとんどの場合、この考え方ではどこかで行き詰まります。
どこかで、身体があなたの理想についていけなくなるのです。身体には身体の道理があります。
技術依存というのは、頭でっかちになっているプレーであり、身体が取り残されているプレーなのです。身体が自然に動けるためには、全体の調和が大事になります。
詳しくは、スポーツと禅についてお伝えしているnoteの記事をご覧ください。
今回のテーマは『【禅をスポーツに活かす】 「ちゃんとしない」「打とうとしない」「振ろうとしない」 「〜しない」メンタルトレーニング』です。
上達するために、アスリートはなにかを「しよう」とします。問題を解決するために、「答えを探そう」とします。フォームを「直そう」とします。ミスをしないために「正確に打とう」とします。
しかし、「する」だけではどこかで行き詰まります。
身体と心と技が調和するためには、あえて「〜しない」というアプローチを取り入れていく必要があります。