やりたいことはなくていい
最近、クライアントさんとのコーチングのセッションは「2人坐禅」ではないかと思っています。
坐禅は「なにもしないことをする」ことです。ただ静かに坐り、息は息に任せ、身体は身体に任せ、心は心に任せていきます。
普段、人はなにかを常に考えています。クライアントさんも懸命に問題を解決しようとします。
1人で何かを考え、解決しようとするアプローチが一般的です。ただ、熟練したビジネスパーソンほど、自分だけの力で出す答えには限界があることを知っています。
いかに周りの力を借りるか。
コーチをやり続けて見えてきたことがあります。それは「自分がないのがコーチ」だということです。
コーチとは話を聴くのが役割です。「ただ聴く」というのが、一番難しいです。それは、余計なことをしないことが必要だからです。
コーチとしてなにもしないことは、最初から出来るわけではありません。経験の中で、なにもしない技を磨いていきます。
コーチングという構造は、コーチとクライアントの2人で行われます。セッションではクライアントさんが問題だと思っているものを2人の前に置いて、いっしょに坐禅を組む感じでしょうか。
コーチが自分の中にあるジャッジを手放して、ただクライアントさんの話を聴いていきます。
最初は「私が相手の話を聞く」からはじまります。それが次第に「相手」「聞く」「私」という境界がだんだん消えていくのです。
そして、コーチの存在が消えていくと、次第にクライアントさんも、自分が考えるという、「自分」へのこだわりが少しずつ薄まっていきます。
すると、どこかで今まで考えていたこととは、まったく別の気づきがやってきます。これはクライアントさんが考えたものでもなく、コーチがアドバイスしたものでもありません。
どこから風のように「智慧」がやってくるのです。
だから、コーチは、セッションに際して、目的もゴールも、やりたいこともなくていいのです。
生きることと禅についてお伝えしているnoteの記事を更新しました。
今回のテーマは「やりたいことはなくていい」です。