魔女トレで「感性」を養いましょう

2023年10月3日号の週刊ゴルフダイジェストで特集が掲載されました。テーマは「魔女トレ」です。

魔女トレというのは、舞踊家の西園美彌さんが開発指導されている身体のトレーニングメソッドです。簡単に申し上げれば、足裏・足指にアプローチすることで、人間が本来持っている可能性を引き出します。

トレーニングを受けたアスリートたちが、魔法をかけられたように変化することから、いつしか魔女トレと称されるようになったそうです。

西園さんのトレーニングは、まずは足裏、足指を感じることからスタートします。足は二足歩行の人間にとって唯一地面と接している場所であり、足裏と足指が感覚器としての入口になります。

「感じる」トレーニング

感じることで感覚が全身に通ります。感性が開きます。

ただ、私自身もメンタルトレーニングで痛感するのは、思考が発達した現代では、「感じる」というのがなかなか難しいということ。感覚器が上手く使えていないと、感覚が全身に通りません。

そのために、まず西園さんは、トレーニングのはじめに、生徒さんの足裏に優しく触れます。そして、「私の手は温かい」と聞くと、「ああ温かいです」と瞬間にハッとなります。温度を感じる時、「これが感じるということか」と、頭で感じるのではなく、身体で感じることを理解できます。

一流のアスリートで、足裏が敏感でない選手はいないそうです。ただ、ケガや手術がきっかけで足裏の感性が失われるケースはあるそうです。あるJリーガーは筋トレに取り組んでいましたが、身体が重いし、以前のような感覚がなくなり西園さんのもとを訪れました。魔女トレに取り組んだ結果、足が変わると丹田ができ、30歳を超えても現役で活躍されているそうです。

私自身、魔女トレを受けて、4ヶ月ほど続けています。日々実践する中で、さまざまな変化が起こっているのですが、くっついていた足の指が開き、足裏もふっくらとしてきました。足裏と丹田の繋がりがでてくる中で、バラバラだった体がなんとなくまとまってきました。結果的に、ゴルフのスイングがイメージに近づくなどいろいろな効果が現れてきてきます。

足裏、足指を感じる具体的な魔女トレの内容については、ゴルフダイジェストのInstagramで動画を見ることができます。

パフォーマンスを最大にするために「感性」を磨く

ここからは、対談のテーマでもある「思考と身体の融合」について、お伝えしたいと思います。スポーツでも仕事でもいいパフォーマンスを出すことが求められますが、そこには「感性」が影響しています。

感性が「冴えている」状態だと、高いパフォーマンスも出せます。逆に、感性が「鈍っている」状態だと、パフォーマンスも下がります。

感性に影響を与えている2つの神経があります。運動神経、知覚神経と呼ばれているもので、運動神経は脳から各部位にむかって「こう動け」とコントロールします。一方で、知覚神経は手や足から感じて脳に戻す役割です。

西園さんは、トレーニングの中で足裏に手を当てて、「足裏で手を感じてください」という指導をしていました。面白いのは、「手で足裏」を感じてくださいではないことです。足裏が手を感じるという方向性にすることで、頭で感じるのではなく、身体で感じることができると話されていました。

私たちは、思考で「感じよう」としがちです。ただ、これは本来の「感じる」ではありません。感じることも頭からの指令でやろうとしているのですが、これは本来の感じるではありません。

足が手を感じるというのは、知覚神経が働いている状態であり、これではじめて、全身に感覚が行って返ってくるという働きが生まれます。

緊張した場面や結果を出そうとする局面では、思考で状況や体をコントロールしようとしがちです。すると、返ってくるものがなくなります。これが感性を鈍くする原因です。感覚が全身に通っていない体になると、すべての動きがバラバラになるからです。アスリートがスランプに陥るのは、練習量が問題ではなく、さまざまな理由によって、感覚が全身に通わなくなったことが原因の場合が多いのです。

思考と身体の融合

いかに、思考と身体を融合させていくか。これが感性を活性化し、パフォーマンスを最大にしていく方向性です。

全身に感覚を通すためには、身体と思考の両方をトレーニングする必要があります。身体にはさまざまトレーニングがあります。「融合」でポイントになるのは、全身に感覚を通して感性を磨くアプローチです。

全身に「行って返る」という動きが生まれるためには、思考のあり方も重要になります。メンタルトレーニングで大事にしているのは、いかに思考が身体の自然な働きを邪魔しないか。身体と喧嘩するのではなく、寄り添える思考のあり方です。

感性を磨くために、思考は「受け入れる」というあり方が必要になります。

身体を邪魔しない「思考のトレーニング」

ちなみに思考には、大きく分けて2つの関わり方があります。あえて「関わり」という言葉を使ったのは、私たちは無意識に、そして当たり前に思考と関わっているからです。

一つ目は、思考を強化する関わりです。これは、一生懸命考えている状態であり、自我が思考を握っているともいえます。

二つ目は、思考を手放す関わりです。放っておいても言葉は、どこからかやってきます。人は無意識に思考しているのです。

考えるのは当たり前だと思いがちですが、考えないという思考との関わりもあるのです。

自然にやってくる言葉をただ受け入れるには、静かな状態が必要です。

ちなみに瞑想では、ただ息の出入りを感じる、身体の状態を感じていきます。これらは受動的な態度であり、静けさの中で、どこからか言葉がやってきます。それをただ聞きます。やってくる言葉をただ受け取り流していくと、思考は自然に手放せていきます。

自分が思考するのか、やってくる言葉を受け取るのか。

前者は、思考を強めていく方向です。思考をぎゅっと握っているので思考はいつまでも消えません。運動神経優位になり、神経の流れは一方通行になります。まさに思考だけでは行き詰まるのです。

静かな中で、やってくる言葉を聞きながら、手放していくと、雲のようにやがて消えていきます。これが受け入れている状態であり、自然に身体との融合が起こってきます。

これまでさまざまな方とコーチングのセッションをしてきましたが、何歳になっても感性は鍛えられます。 感性がイキイキしていると、今が一番若いと感じるようです。日々自分をアップデートしていけるか。今回の記事を参考に、いろいろ工夫してみてくださいね。