ミスを受け入れるのは、難しいことです。

「あんなことがなければ」「もう少しああしておけば」「運が悪い」
ミスした後には、さまざまな考えが湧いてきます。

そして多くの場合、その考えを断ち切れないまま次のショットにのぞみます。
結果は想像の通り、さらにひどいものになるのです。
断ち切って、次のプレーに全力で望むということは、永遠のテーマです。
それは全力でプレーに望めば望むほど、ミスした悔しさも増すからです。

プロゴルファーのIさんは、考えを断ち切ろうと思っても、
頭の中からなかなか離れないのが悩みでした。
失望や怒り、悲しみなどの感情に翻弄されて、自分のプレーができなくなるのです。

「何がそんなに苦しいのだろう?」
「ミスが許せないのです。多分、ミスした自分を認めるのが怖いのだと思います。
だから自分を責めたり、言い訳したり、何かのせいにしたり・・・
でも、それではミスが頭から離れないのです。」

私自身も同じような経験を持っています。
会社員の頃、仕事のミスが許せなくなり、人のせいにしたり、
これが悪い、あれが悪いと言い訳ばかりしていました。
しかし、そうすればするほど苦しくなるのです。

私自身がコーチングを習得する中で気づいたことは、
「結果を100%受け入れる」ことでした。

それまでは仕事ができる自分、恰好よい自分、スマートな理想の自分があり、
失敗を認めることは駄目な自分を認めることになると思いこんでいました。

ただ、「結果を100%受け入れる」と、不思議と心が楽になるのです。
どんな結果でもです。
失敗しても、「失敗した」と受け入れると、次へのチャレンジにむけてやる気が起こってきて、
具体的な対策も浮かんでくるのです。

これはゴルフにおいても、同じです。
ゴルフで結果を受け入れることができると、まず次に引きずらなくなります。
怒りなどの感情に振り回されることなく、一打に集中することができます。

しかし、「結果を100%受け入れる」ことは最初、自然にはできません。
人は、一時的には失敗を受け入れず何かのせいにしていた方が楽なのです。
なので、結果を受け入れるという強い決意が必要です。

そして、これは結果が起きてから受け入れようとしてもなかなか受け入れられないのです。
ポイントは、行動を起こす前に「どんな結果になっても、
受け入れることを決めておく」ことが大事です。

ゴルフでいえば、ショットやパットをする前に、
どんな結果になろうとも、言い訳せず誰のせいにもせず、受け入れる覚悟を持つのです。

Iさんにはルーティーンで「どんな結果になっても受け入れる」と
心の中で言い聞かせてもらいました。
すると、最初はかなり違和感があったそうです。
これまで全く受け入れる気持ちを持っていなかったことが分かりました。
いつも結果を疑いながら、どこか全力で臨むことを避けている自分がいたのです。

それをショットの前に決めておくことで、
今までとはまったく違った感覚でショットできたそうです。迷いがなくなったのです。
また、仮にミスした後も以前のように引きずるのではなく、
次のショットに全力で臨むことができるようになりました。

そしてもう一つ大事なことは、覚悟を持ってショットできたら自分を褒めてあげる。
たとえ結果がミスになったときでも、自分を責めないことです。

人は自分を責めることで、自己嫌悪に陥ります。
実は自己嫌悪は現実逃避の一つであり、一時的には楽なのです。
しかし、これも受け入れていないことと同じなので、すぐに不安や苦しみに変わります。

だから自分を責めるのではなく、覚悟を持ってショットできた自分を褒めてあげてください。
実は「責める」より「褒める」ことのほうが、勇気がいるのです。