皆さんは、ラウンド前にどんな練習をしていますか?練習場で見ていると、プレーヤーの性格がよく分かります。慎重な方、アグレッシブな方、ゆったりした方、さまざまです。その中で、本番で力を出せないプレーヤーに共通している特徴があります。納得できるまで、何球でも打つ方です。

後ろから見ていると、なかなか納得できないのでしょう。表情がだんだん険しくなっていきます。肩にも力が入っていきます。一言でいうと、どんどんムキになっているのです。ゴルフをプレーしていると、どんな一流のプレーヤーでもムキになります。そして、ムキになっていてもだんだんリズムがあってきて、ナイスショットが出ることがあります。ムキになった状態で打ったナイスショットは、その方が悲劇といえます。ムキが癖になるからです。

ムキになりやすいというプレーヤーには、心をゼロにする練習法をお勧めします。ラウンド前の練習場では、一つの番手で一球ずつ打つ。トップやダフりがでたら、普通ならいいイメージが出るまで何度でも打ちたいところですが、一球でやめるのです。それが、今日のあなたの調子だからです。大事なことは、それを受け入れることです。

どうしても納得いかない人は球を打つのではなく、いいイメージの素振りをして、そのクラブの練習は終わり。そのまま一球ずつクラブを変えながら打っていると、すごく気持ちよく打てるクラブもあります。このようにラウンド前の練習では、きょうはこんな感じかなということを理解できればOK。昨日の練習ではもっと上手く打てていたのにと納得できない自分もいると思いますが、昨日は昨日。今朝は今朝、ラウンドはラウンドです。体もリズムも心の状態も常に変わっていることを受け入れてください。もちろん時間があれば、一球打ちをもう1セットやってもいいです。くれぐれもナイスショットを求めてムキにならないことが大事です。

そして、本番でもムキにならないことに挑戦しましょう。ムキになる局面は実はたくさんあります。ミスショットの後のリカバリーショット。いいティーショットを打った後の第二打。1メートルのパーパットを外した次のホールのティーショット。ここをいかにムキにならず打てるか。そこで大事になるのは、ムキになっていることに気づくことです。プロアマ問わず、ゴルファーの多くがムキになっていることに気づかず、プレーしていることが多いのです。

心がムキになっているかよく分からないという方に、お勧めのルーティンメソッドがあります。アドレスに入る前に、皆さんは後ろに立っていますか。後ろからボールの弾道をイメージしていないという方は、まずは後ろにたって、風を感じて、ボールの弾道をイメージすることから始めましょう。

そして、後ろに立った時に、クラブを持ってヘッドを打ちたい方向に向けてみてください。そのとき、クラブが止まっているか確認するのです。もし、心がムキになっていたら、クラブがピタリと止まることはありません。小刻みに揺れていると思います。これは、まだ何かに囚われている状態です。最初は、なかなか難しいかもしれませんが、何度かやっていると、ピタリと止まる瞬間がやってきます。そのときの心を確認して下さい。恐らくゼロに戻っていると思います。

お茶をやっていると、お稽古でお茶室に入ったときは、いつも心がざわついていることに気づかされます。茶碗を持っていても、どこかザワザワ、フワフワしているのです。それが、一つ一つに丁寧に心を込める中で、少しずつ心が落ち着いていきます。嵐のような状態から、静かな湖面のようになっていくのです。私たちの日常では、気づかず、心がざわついているのでしょうね。

ぜひ、心をゼロにするルーティンに取り組んでみてくださいね。