スポーツのメンタルトレーニング 真面目の壁

高校生たちのメンタルトレーニングをやっていると、その年ごとに、チームの個性がまったく違うのが面白いです。

今年のチームは、男子はやんちゃな生徒が多く、女子は真面目な生徒が多いのが特徴です。

やんちゃということは、調子にのりやすい生徒が多い。逆にいえば、調子にのせてやれば、どこまでも力を発揮する可能性があります。もともと元気が溢れているので、指導する方向性がみえやすい。

一方で、真面目な生徒達は、真剣に取り組みます。指導者からの言葉を一生懸命聞いて、なんとか上手くなろうとします。

真面目な生徒はそのひたむきな姿勢が好きなのですが、真面目さはかなりやっかいです。真面目に考えるほど、理想の自分という形を作っていきます。考えるほど、理想と現実の自分のギャップが深まり、自分を貶めるようになっていくのです。

私自身、真面目一本で生きてきたのでよく分かるのですが、「バカになれ」というのが一番難しい。どうすれば、真面目の壁を打ち破れるのか。

真面目というのは考えすぎという側面があります。「考えるな」と指導者が言うと、考えないということを考え込んでしまう。

真面目になっているときほど、失われるものがあります。それは「心地よいという感覚」です。

竹刀を振っていて、心地よいということを感じてもらうトレーニングがあります。5点は最高に気持ちよい、1点は気持ち悪い、3点はまずまずということを点数化してもらいます。

男子の方はというと、面白かったから5点。あるいは、4.2点とかユニークな点数をつけたりします。これがやんちゃな特徴。ただ男子の課題は、試合になるといきなり真面目になったりします。肝っ玉が小さい。あとは、このやんちゃさをいかに磨いていくか。

一方で、ほとんどの女子選手が1点〜3点でした。考えすぎている選手ほど、気持ちよさがないのです。点数を報告する女子の中には、目が潤んでいる選手もいました。

何度かやってみましたが、びっくりするほど、点数が変わりません。まさに、心地よいということを考えてこんでしまっている状態です。でも、彼女たちは中学校ではかなり強い選手だったのです。

おそらく中学校までは、「ここが悪いので直しなさい。」と悪い癖を修正する指導が中心だったのだと思います。真面目な選手の場合、常に直そう、直そうと思って練習しているので、心地よさはまったくない。

試合でも、先生に言われたことをやらなければと、ミスしないようにと考えます。これでは、本来持っている持ち味や本能が出る場面はありません。真面目さという枠で自分を縛っているのです。

自由にやってみてということがよく分からない。ノビノビとすることが難しい。

まずは、そのことに気づいてもらことから始める必要があります。

これからインターハイ予選が行われる6月に向けて、いかに真面目さを解いていくか。今年もいい宿題をいただきました。

真面目になっているときほど、自分で真面目を解くのは至難の業です。だから、真面目さをいじってくれるメンバーがいると、真面目さが笑いになる。まだ、今年のチームにはその役割の選手が見つかっていない。あるいは、バカになれる選手が1人いると面白くなる。これから眠っている個性の発掘作業です。

自分の限界をこえていくときに大事なこと。それは「真逆」をいかにやっていくか。真面目の真逆とは自由でありノビノビとした心。自由にノビノビやっていると、動きに思いきりのよさやメリハリも生まれてきますが、同時に隙も生まれます。

真面目な人ほど、隙が生まれることを恐れます。しかし隙を恐れるプレーに成長はない。ノビノビやってみることで、自分の癖が見えてくる。また、それを修練していけばいいのです。考えるファーストではなく、体験ファーストにいかに切り替えていくか。とりあえずやってみようというのが真面目な人にはとても難しい。

そんなことをどう分かりやすくトレーニングしていくか。私も真面目になりすぎないように、好奇心を全開にして、なんでもトライしていきたいと思います。

週刊ゴルフダイジェスト2020年第2号、メンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第143回のテーマは「クラブの動きを直そうとすると、心地よさを目標にする」です。

ゴルフでも真面目になりすぎると、なかなか上手くいきません。いかにいい塩梅の心を作っていくかがメンタルトレーニング。今回お伝えした「心地よさ」について、コラムの中で詳しく説明しています。

ご興味のある方は、ぜひ読んで見てくださいね。

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