メンタルトレーニングと禅「他人との勝負 自分との勝負」

皆さんは、勝負が好きですか?相手に勝てると快感ですし、勝負にこだわることが楽しく、力が湧いてくるときは、とことん勝ち負けにこだわってみたらいいと思います。一方で、勝負を意識することで、逆に力が出ない選手もいます。これが悪いのではなく、相手に勝つことだけが勝負ではないことを知っておくことが大事です。

相手との勝負を意識すると、強い相手との対戦では負けないようにと思って力んだり、逆にとてもかなわないと思って、対戦前から諦めてしまったりします。あるいは格下だと思っていたら、集中力が緩んでやられたりします。これは相手に囚われることで、自分の心がぶれているのです。相手との勝負に一喜一憂していては、ラウンド後の飲み会は盛り上がるでしょうが、どこまでも成長はありません。

もう一つの勝負。それは自分との戦いです。では自分に勝つには、どうしたらよいのか。

選手たちとトレーニングで取り組むのは、課題を一つ決めることです。試合の前に、自分の力を出し切るためのキーワードを考えてもらいます。例えば、「どんなときもあきらめない」「信じきる」「一つ一つ」「落ち着いて」「決めきる」「間合いを大事に」などです。

そして、目を閉じてゆっくり呼吸しながら、キーワードでプレーしている自分をイメージしてもらいます。このとき、プレーしている姿が浮かぶか、身体が温かくなるか、ワクワクしてくるような感覚が生まれてくれば、それは取り組むのにピッタリのキーワードです。

しかし、イメージが浮かんでこない、あるいはワクワクしないということであれば、そのキーワードは変えた方がよいです。これは、自分に勝つための真の課題ではないケースが多いからです。どこかで、「相手に勝つためには〇〇が必要だ。」あるいは、「〇〇すべきだ」という意識で課題を決めていると、それは自分らしいプレーから離れていきます。

他人に勝つ自分になることと、本来の自分の持ち味を磨くことは似ているようで、まったく違うのです。前者は格好いい自分、理想の自分かもしれません。一方で後者は、泥臭い自分、あるいは原点に立ち返る感じかもしれません。

これは、どのスポーツでもいえることです。体が小さい選手が、大きい選手に対抗しようとして、筋トレや体幹トレーニングに取り組んでも、逆に体を壊してしまったり、体の微妙な感覚を失うことがあります。もちろん、フィジカルを鍛えることは大事ですが、どれだけ鍛えても、もともと体が大きくて、筋肉のある選手とぶつかっても、力と力がぶつかるだけです。それでは、相手の土俵で戦っているので、最後は押し切られてしまいます。

そうではなく、自分の伸ばせる部分は何か。自分の真の武器は何か。深く考えれば、自分を磨くポイントが必ずあります。先ほどの体の小さい選手であれば、足の速さを活かす。細かい技を磨く。それによって、相手を自分の土俵に持ち込み、相手を攪乱できます。自分自身との勝負には、終わりがありません。どこまでも成長できるのです。

ぜひ、皆さんも「自分に勝つ」ための、課題を一つ設定してみてくださいね。

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