野球やテニス、ゴルフなどスポーツにおいては、「焦り」が発生すると、いいパフォーマンスをあげるのは難しいです。いかに「焦り」と上手に付き合っていくのかはメンタルトレーニングの大事なテーマです。

どのアスリートも、「焦り」を緊張や不安など漠然としたイメージで捉えています。これだと、焦りを感じたときに混乱してしまい、さらに焦りを恐れて、避けるようになります。

しかし、焦りというのは、達成したい目標や向上心と表裏といえます。緊張や不安などを感じるということは、今あなたが限界の壁に挑んでいるということなのです。なので、焦りは悪いものはありません。

焦りと上手く付き合っていくために大事なことは、焦りという状況で何が起こっているのか具体的に知ることです。

焦りを感じているときには、いろいろな考えが同時に発生して複雑になっています。「失敗が怖い」「ここをこう動かしたい」「あそこには打ちたくない」「負けたくない」「ここをパーであげればベストスコアだ」など同時にいろいろなことを思い浮かべる状態が、焦りを生み出します。

焦っているときに、脈をとってみてください。ドキドキしていると、普段よりも脈拍の速度が速くなっています。

では、心の速度はどうでしょうか?

実は、焦りが発生しているとき、心の速度は普段より速くなっている場合が多いのです。ただ、心を落ち着けようとするほど、焦りはさらに募ります。なぜなら、落ち着けようという思考がもう一つ増えるからです。

そこで、オススメなのは、自分の中で、ゆっくりと20まで数えるのです。ゆっくりと数える中で、数え終わる頃には、心がゼロにリセットされています。また、心の速度も次第に普段のフラットな速度に戻っていきます。

大抵の思考は20数える中で、雲が流れていくように、どこかに消えていきます。20が難しい状況では、10でも大丈夫です。

週刊ゴルフダイジェストに連載中のメンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第145回のテーマは、「心の速さを戻す20秒呼吸」です。

興味のある方は、ぜひご覧ください。