いかに「休むか」というのは、スポーツでもビジネスでもパフォーマンスを発揮するためにはとても大事なテーマです。

ただ、練習好きなアスリートにとっては、練習をしないというのは恐怖になります。

ビジネスでもワーカーホリックな方がおられますが、仕事を休むことが難しいのと同じ感覚と言えます。

もちろん、練習なしでは上達はありません。でも、「練習しすぎ」ると、逆にフィーリングを失っていくのです。

なかなか説明が難しいのですが、「フレッシュな感覚」があるかどうか。

ゴルフでいえば、クラブを持ったときにフレッシュな感覚があるか。
野球でいえば、バットを握ったときにフレッシュが感覚があるか。
サッカーでいえば、ボールを蹴ったときにフレッシュが感覚があるか。

プロゴルファーは、一年間戦う中で、ボールを打つことが当たり前になっていきます。コースに立った時、憂鬱になったりもします。フレッシュ感がなくなっていくのです。この状態を続けていると、どこかでフィーリングが悪くなっていきます。

いかに、フレッシュな感覚を取り戻すか。心と身体をゼロにリセットするために、あえて休むことが必要なのです。

心と身体に休みをあげることが必要といった方が適切かもしれません。というのも、思考はもっともっと努力したいと訴えてくるからです。

練習を休むことで、せっかく積み上げた練習が無駄になると、不安になるかもしれません。でも、その不安こそがゼロにリセットするために大事なのです。

積み上げた経験とは、たくさんの洋服を着込んだようなもの。これでは、シャープなプレーは難しいのです。

積み上げた経験には、本当に必要なものとそうではないものがあるのです。本当に必要なものは、自然に身体と心に染みこんでいきます。それ以外は、どんなにいい知識やスキルだとしても、余分なものなのです。

休むことで、残るものは残り、忘れるものは忘れていく。それが、再びフレッシュな感覚を取り戻すプロセスです。

選手たちと、オフの期間にメンタルトレーニングの一環として、断食に参加したりするのですが、「食べないことで食べることのありがたさ」が見えてきます。

休む中で、プレーしたくて溜まらない。ボールを打ちたくて溜まらないという気持ちが生まれてきます。そして再びコースに立った時、「ゾクゾクするような感覚」が生まれた時、初心に立ち返った状態と言えます。

週刊ゴルフダイジェストに連載中のメンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第146回のテーマは、「クラブを握らない」です。

アマチュアの方でも、フレッシュな感覚を取り戻すために、道具を持たない期間をどこかに作ることをオススメします。

興味のある方は、ぜひご覧ください。