今回のアメリカ訪問でも、英語でのセミナーをさせていただきました。

まだまだ英語は下手でぎこちないので、セミナーの最後に、
「聴きづらい英語を最後まで熱心に聞いてくださり、感謝します」
と参加者にお伝えしました。

すると見ていた方から、逆に「ぎこちないくらいがいい」と言われました。

「えっなんで?」と思ってお聞きしたところ、「ゆっくり、ぼくとつと
話してくれたことで、内容が心に染みた」ということでした。

早口でスムースに話すと、表面で流れてしまう感じがするそうです。
特に、私のお伝えしているテーマ「心で聴く」という内容には、
今くらいのスピードが丁度いいのではないかとのことでした。

もちろん、私を励まそうとしてくれた意味もあったと思います。
ただ、このフィードバックにはハッとさせられました。

上手い英語、流ちょうな英語。ネイティブスピーカーのような話し方を
いつかしたいと、それを目指して練習してきた私にとって、
このコメントは心に響きました。

格好いい英語と、心に響く英語は違うのだと。

確かに、アメリカで行った英語でのセミナーでは、
言葉で上手く表現できないので、参加者とつながるために、
アイコンタクトやボディランゲージを最大限、活用していました。

結果的に、話すスピードがゆっくりになってしまったのですが、
それが功を奏したのかもしれません。

ちなみに、アメリカでテレビを見ていると、非常にテンポが速いのです。
話すスピードも速いですし、内容もどんどん変わっていきます。

最近は、日本のテレビもコロコロと内容が変わるので、
ついて行けないところがあるのですが、
それとは比べものにならないくらい速いのです。

そこのことについて参加者にお聞きしたところ、アメリカ人は、
とても飽きやすい。なので、テンポがゆっくりだと
すぐに飽きられて、チャンネルを変えられてしまうそうです。

その結果、刺激的な内容をとにかく速く伝えることが
当たり前になってきているのです。

恐らく、私のセミナーはまったく逆です。
深い話を聴くには、ゆっくりじっくりと向き合う必要があります。
参加者にとって、そのアプローチも新鮮だったのではないかと思いました。

私自身、普段日本語では当たり前のように、普通の速度で
話しています。そして、時に早口になる傾向があります。
むしろそれくらい流ちょうな方が、プロとしては丁度いいと思っていました。

しかし、内容によっては、とつとつと話すことで、
ゆっくりと心に染みるのだということに気づけました。

また、つながることを意識することで、もっと心に残る伝え方が
あるのではないかと。実はそこに価値があるのではないでしょうか。

日本人同士で話していると、当たり前だと思っていることにこそ、
盲点がありますね。

上手な言葉よりも染みる言葉。
上手い英語ではなく、つながる英語を目指して、
さらに精進していきたいと思います。