5月31日発売の『週刊ゴルフダイジェスト』に記事が掲載されました。
テーマは「スタートホールをいかにボギーで切り抜けるか」です。
すでに記事を読んだ方もいらっしゃるかもしれませんね。
紙面の都合上、説明しきれていない部分があるので、
内容を補足したいと思います。

ゴルフダイジェスト社の調査によると、
ホール別の平均スコアでは、1番ホールが圧倒的に悪くなっています。
その次に悪いのが18番ホール。
ということは、やはりゴルフはメンタルの部分が
大きく左右することを証明してくれています。
非常に参考になるデータです。

今期の日本の男女ツアーで優勝した12人のプレーヤーのうち、
最終日のスタートホールでボギーを打ったのはたった1人という
データも紹介されています。
1番ホールをいかにうまくスタートするかが、
その日の流れを大きく左右するということになります。

記事では、フィジカルトレーナーによる体の準備、
プロゴルファーによるコースのマネジメント法、
そして私からはメンタルの視点から解説させていただいています。

今回紹介したポイントは、スタートホールでいかに欲を絞るか。
最初のホールほど、今日のスコアの目標を強く意識しているからです。

人は結果に囚われると、体がスムースに動かなくなります。
もちろん、結果を出すためにプレーしているので
結果を捨てることはできませんが、
結果を出すために、あえて結果を捨てるという「意識」が必要になります。

では、結果を捨てて何を意識するか。
それは、「この一打をどう打つか」。
欲を絞るために、「フェアウェイに打つ」「リズムよく打つ」というように
何か1点に心をフォーカスすることです。

何か1点に心を決めることで、結果を捨てることができます。

大事なのは過去と未来ではなく、「今ここ」に心を持ってくることです。

ラウンドでは、つい未来の結果や過去の失敗に心を持っていかれます。
ですので、ラウンドの間、
「今できることは何か」という問いを自分にしてあげてください。
恐らくラウンド中かなりの回数、過去や未来に心を持っていかれるので、
そのたびに何度でも心を「今ここ」に戻してあげてください。

また、欲を絞るために「打たないで打つ」ことも重要です。
ちなみに私たちは、頑張ろうと思えば思うほど
目に力が入る傾向があります。
ゴルフで言えば、ボールを見ようとしすぎるのです。

視神経はそのまま脊椎につながっているので、
目に力が入ると、それは体全体の「力み」につながります。
ですので、スタートホールこそ 「見る」のではなく
「見える」感覚を大事にしましょう。
「見える」とはボールやフェアウェイが目に入ってくる感覚です。

そのために、禅の座禅で使う「半眼」も有効です。
半眼とは「ガツガツ見ようとしない目」のことです。
瞼を少し落とした状態です。
少し暗くて、見にくいかもかもしれませんが、
それくらいで実は体は十分見えているのです。

また、最初のホールでは特にミスが許せないもの。
ムキにならない心が大事です。
そのために、ミスした自分を「認めて」「許す」ことも
その日のラウンドを大きく左右します。

人はミスした自分を否定すると、
ショットやパットをすることを身体が怖れ始めます。
仕事でも上司に責められると、次に報告に行くのが怖くなりますよね。
ゴルフでミスした時には、あの上司と部下役を自分でやっているのです。
否定し責めれば責めるほど怖くなり、言い訳したくなります。

自分を否定し責めるという行為によって症状としてすぐには出ませんが、
ショットごとに自己否定や批判を繰り返していると、
徐々にショットやパットのキレが悪くなっていきます。

人によっては10番ホールくらいから、
ショットやパットをする前から嫌な感覚が襲ってきます。
あるいは一度のミスからガタガタと崩れてしまいます。

また、その日のラウンドは何とか切り抜けたとしても、
次のラウンドでショットやパットをするのが怖くなってきているとしたら、
それは自分を責めている証です。
また、孤独感に襲われるというケースも同じ原因の可能性が高いです。

実は人は、認めて許すよりも、
責めて自己否定することの方が簡単なのです。
だからこそ自分を励ます力はメンタル力になるのです。
結果が良くても、悪くても平らな心を持てる自分を作っていきましょう。

まだ、読んでいない方は、ぜひ読んでみてください。
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