先日、緊張をほぐすためのメンタルトレーニングとして、「ボディスキャン」を紹介しました。まず、申し上げたいのは、緊張が悪いのではありません。緊張した自分を責めるのではなく、優しく観察することから始めましょう。緊張した心の状態や身体の部分に気づいてあげることで、実は緊張はかなり、緩和されます。

禅の修行では、坐禅を通して体の声を聴いていきます。またヨガやフォーカシング、マインドフルネスという技法も、体の働きを高めるために頭ではなく、呼吸や体から入っていくアプローチといえます。体の声を聴くというのは、シンプルにいえば体の細部に光を当てるということです。普段意識していない状態での私たちの体は「Body」といえます。これは、箱のような状態。もう一つ体には、「Soma」という表現があります。この言葉は、アメリカ人でも知らない人が多いそうですが、体に「気」が宿り生き生きと動いている状態です。メンタルトレーニングにおいては、心を扱うだけではなくて、実はいかに「Soma」の働きを高めてあげるかということが大事になります。今回は基本的なトレーニング方法をご紹介します。簡単にできますので、ぜひトライしてみてください。

①まずは、地球に支えられている「Grounded」という感覚を感じることから始めます。立った状態で、しっかりした地面という土台が自分を支えてくれているのを足の裏で感じます。

②そして、体の状態の声を聴いていきます。この声は、嬉しいとか悲しいという通常の気持ちとは違います。こうした言葉で表現できる気持ちの下にある、もっと原始的な感覚です。フワフワとかキュッとか、暖かい、ゴツゴツなどです。このとき、緊張を感じてもその感覚を排除しようとしたり、原因を分析しないことです。もし、こうした思考が起こってきたら、再びただ感じることに戻りましょう。

緊張とは、テンションです。このテンションが、フリーズするから問題になります。緊張はそのまま放っておくと、体の中にしこりのように蓄積していきます。このしこりは、スポーツでいえばイップスのような症状になっていきます。この溜まった緊張のしこりは、フィジカル的に筋肉をほぐしてもとれません。心から生まれたしこりは、心でほぐしてやることがポイントになります。

まずは緊張が感じられる部分に意識を集中します。そしてゆっくりと呼吸をしながら、緊張という冷たい凍った雪が光をあびて、とけていく状態をイメージします。それでもまだ緊張が残っているときは、その部分を通して息を吐き出し、緊張が体の外に息とともに排出されるイメージを心に描きながら呼吸します。

ぜひ、体に光を当ててあげてください。なかなか難しいという方は、ヨガやボディワークの教室に通われることをお勧めします。思考のアプローチとはまったく違う視点での気づきがあると思いますよ。