アメリカ出張2日目。きょうはゴルフのメンタルトレーニングでした。

つい、先日まで降っていて雨も止み、絶好のラウンド日和でした。課題は、リズムが良いときと悪い時の波です。

いかに、一定のリズムの打つことが出来るか。スコアや結果を意識すると、どうしてもリズムは崩れます。いいスコアを目指すのがゴルフなのですが、スコアに囚われるとゴルフのプレーが小さくなっていくのです。

なので、スコアの壁を打ち破るために、いかに固定概念のプレーを打ち破るか。

メンタルトレーニングのコラムを連載中の週刊ゴルフダイジェスト、今回のテーマは「大きな壁を乗り越えるために」です。

私たちは、上手くなるために練習します。そして、いい結果を出したいと思いラウンドをします。しかし、この思考では乗り越えられない壁があります。それは、100、90,80の壁です。

結果を考えたときのスウィングは伸び伸び振れていますか?振れているという方はそのままの流れで練習すれば、近い将来、その壁は乗り越えられると思います。

一方で、練習場ではいい感じでスウィング出来ているのに、いざ本番になると、スウィングが違う。特に、スウィングが小さくなっている人は要注意です。結果を意識している副作用がスウィングの小ささです。ドライバーではOBを出さないため、あるいはフェアウェイに置きにいくために小さくなっていきます。また、アイアンでは方向性を出すために、アプローチではダフったり、トップしたりしないために、小さくなっていきます、パッティングでは大きくオーバーしたくないために、ショートします。

結果を出すために大きなミスを回避することで、ある程度までは上達できます。ドライバーでもOBを出さなければ何とかリカバリーできます。またパッティングでも大きくオーバーしなければ3パットは防げます。ただ、それでは、ドライバーは気持ちよくフィニッシュまで振り切れなくなり、その結果芯に当たらず、飛距離は落ちていきます。また、パッティングはオーバーしなければボールはカップに入りません。合わせるだけの苦しいパッティングになっていきます。

結果を出すために考えたスウィングを、私は「小さなスウィング」と呼んでいます。この小さなスウィングのままでは100,90、80の壁に跳ね返されます。

短期的な成果にこだわっていると、全体的な流れが見えなくなります。目先ばかりをみているこの状態では、大きな壁は乗り越えられません。目先の結果ではなく、全体からもう一度ゴルフを見直すことが必要です。それは、部分最適を捨てて、一度ぶっ壊してみるということです。

禅の修行では、常にぶっ壊すことを求められます。まずは普段の思考のパターンを全否定することからスタートします。自己否定とは自分が見えているものを疑い、固定概念という枠をぶち壊すこと。

ただぶち壊すだけで終わりません。その後には、少し器が大きくなった違うレベルでの自己肯定がやってきます。自己否定するのは、本来の自分に返ってくるため。本当の自己肯定にむけて、自分をぶっ壊すのです。このように禅では、自己否定と自己肯定を繰り返します。そういう意味では、禅は常に新しい状態を、いまこの瞬間に作り続けていく作業といえます。

小さなスウィングでは、大きな壁は乗り越えられません。一度作り上げてきたものをぶっ壊すことが大事です。結果を捨てて、もう一度大きなスウィングに戻るのです。車でいえばオーバーホール。すべての部品を分解して磨き直す。そしてもう一度組み立て直すことで、見違えた走りになります。少し時間はかかると思いますが、短期的な結果ばかり追い求めるよりも、結果的には大きな成長が期待できるのです。