松山英樹選手が5月15日付の世界ランキングで、
4位から自己最高の3位に浮上しました。

これまでは、中嶋常幸選手の4位が最高でしたので、
日本人の最高位を更新したことになります。
本当におめでとうございます。

では、松山選手の強さとは何か。

もちろんスイングの素晴らしさやフィジカルの強さも
目立ちますが、メンタルについても私たちが学ぶべき点が
いろいろあります。

松山選手がアメリカツアーに挑戦し、2014年の
ザ・メモリアルトーナメントで初優勝した時のことを
思い出しました。

大会の最終日では、今年のマスターズを制した
ババ・ワトソン選手など世界のトップ選手を追いかける
展開となりました。

最終ホールでバーディパットを決めて、
先に13アンダーでホールアウトしていた
ケビン・ナ選手とのプレーオフを制したのです。

こういう風に書くと、いい展開での勝利のように
思えますが、事実はまったく違っていました。

実はこの前日、松山選手はパターのミスで
かっとして、グリーンをパターでたたいたのです。
これを後続で見ていた選手から批判を受けました。

日本のマスコミでも事件として取り上げられ、
最終日への影響を心配する記事が載りました。

ここで、すごいのは翌日すぐに批判した選手のところへ
謝りにいったことです。

最終日には気持ちを完全にふっきり、プレーに完全に
集中できました。

ただ、最終日でも一時首位に立ちながら、
16番で池ポチャしてダブルボギーにしてしまいます。

そのときミスへの怒りでドライバーをへし折ってしまい、
その後は3Wで戦わざるを得なくなりました。

普通の選手ならばここで心も折れそうですが、なんと
18番でバーディを奪い、プレーオフに持ち込んだのです。

結構な無茶苦茶ぶりが今も私の記憶に残っています。

それ以前も松山選手はスロープレーを指摘されたり、
自己中と一部の関係者から批判されたりしています。

ただ、私はむしろそれくらいがいいと思っています。
若いときから小さくまとまらないことが
世界で戦うためには大事になります。

世界に挑戦した選手の代表として、
私は青木功選手が大好きです。

もちろん成績も素晴らしいですが、そのキャラクターが
多くの人たちに今でも愛されています。

あるとき青木功選手が松山選手の「鈍感力」を
絶賛していました。
これはメンタルの面で非常に参考になります。

「日本の選手はいい人になっている。そうではなく、
少々批判されても若い時は自分を貫く傲慢さがほしい。」と
話していらっしゃいました。

青木選手も若い時は非常に傲慢だったそうです。
「わがままを背負ってゴルフをしている」と著書でも
述べられています。

でも悪いと思った時は思いきり謝る。
そうして少しずつ成長してこられたそうです。

人は傲慢なぐらい自分を信じるからこそ、
成長していけます。
そこから頭を打ちながら成長していけばよいのです。

最初から人の評価を気にしていい人を演じてしまうと、
批判されるのが怖くなります。

批判をも力に変えていけるメンタル力が
個性を伸ばすためには必要なのです。

いよいよメジャー初優勝にむけて期待は高まります。
松山選手は以前メジャーへの思いを聞かれた際、

「メジャー大会には勝てると思っていますし、
勝つと思ってやっているのが大事だと思います。

成績が出なくても、一つずつ練習してやっていけば
チャンスは必ず巡ってくると思います。」
と話していました。

批判を受けることを恐れず自分の道を進んでいく
松山選手だからこそ、日本人初のメジャーチャンピオンに
なれる日は近いと私も信じています。

そして、記録もそうですが、何より記憶に残る選手に
なっていくのが楽しみです。