「力み」というのは、ゴルファーにとって大きな課題です。力みが発生すると、普段通りのスイングやストロークは出来ません。力みのせいで、プレーが崩れるのはプロもアマチュアも同じ。でも、無理に力を抜こうとすると緩んでしまいます。力みが自然に抜ける感覚を掴むには、禅やメンタルトレーニングを活用して心を整える必要があるのです。

一度力んでしまうと、その力みはすぐには抜けません。ドライバーを力いっぱい振った後で、アイアンショットが乱れるのは、ドライバーの力みから来ているのです。例えば力むとオーバースイングになります。オーバースイングになると、リズムが狂うのでインパクトでヘッドアップする。一度の飛ばしたいという欲が、その後のプレーのバランスを崩すのです。力んだ状態から戻るのには数ホール以上、下手をしたらその日のラウンドはそのままということもあります。

ベストスコアを更新できるかどうかは、もっと飛ばしたいという欲をいかにコントロールするか。いつも肝心な場面で力んでしまうというプレーヤーは、力いっぱい振るということと、気持ちよく振るということの違いがよく分かっていません。常に80を切っているプレーヤーを見てみるとよくわかるのですが、皆さんそれぞれのリズムを持っています。いいリズムで振ると、フィニッシュまで自然に振り切れるのです。これが気持ちいいスイングです。

普段の練習から、8割の力で気持ちよく振り切れるリズムや身体の使い方を探求していきましょう。

ちなみにパターでも、力みが一番の大敵になります。ロングパットの距離感が合わないというプレーヤーをみると、力で調整しようとしています。ただ、多くのアマチュアがパットで力んでいることに気づいていません。パッとで力むと、フォローが出なくなります。リズムもバラバラになってしまい、どんなにいいストロークをしようとしても、気持ちよく自然には振り抜けません。

ラウンドでは自分のスコアばかり気にするのはなく、同伴者にも目を向けてみましょう。スイングやストロークを観察するのです。気持ちよく振っているプレーヤーにはさまざまな特徴があります。例えば、アドレスに入ってから、足をパタパタと3〜4回踏んでいるベテランのシングルプレーヤーがおられました。理由をお聞きすると、足で地面を感じることで、自然と上半身の力みが抜けるのだそうです。

それでもラウンド中に力いっぱい振りたい、もっと飛ばしたいという衝動に駆られることがあります。その時に、どう対処するのか。我慢するのはよくありません。力いっぱい振ったらいいと思います。ただ、このときに、心だけはフィニッシュまで穏やかに保つように努力してください。

難しいという方は、微笑みを意識してください。歯を食いしばっているのは、心も力んでいる証拠。身体だけでなく心も力んでしまうと、それは大きなミスにつながってしまいます。心が冷静だと、身体は思い切り振っても意外にリズムは崩れません。これを繰り返していると、だんだんいい塩梅の思いきりが分かってきます。