メンタルトレーニングのコラムを連載中の週刊ゴルフダイジェスト、今週のテーマは「基本はメモしよう」です。

今年もゴルフのトーナメントが開幕しました。選手達も気持ちが高揚しはじめる時期だけに、この時期のメンタルトレーニングのテーマは「初心」と「基本」に戻ることを大切にしています。

ラウンド中、心が乱れたときに大事なことは基本に返ること。ある日のメンタルトレーニングで8番ホールのセカンドから急にショットが乱れはじめた選手がいました。その選手が発見した基本は「どう立つか=アドレス」でした。心は立ち方に出ます。イメージがすんなり決まったときはスッと構えています。そして、心が乱れていると構えも乱れます。一番簡単にズレやすいのがアドレスです。いかに、自然に構えられるか。

アドレスの基本的なチェック項目は以下の3つでしょうか。
・クラブフェースはきちんと目標に向いているか。
・アドレスの向きは合っているか(スタンスの方向、肩のラインは合っているか)。
・ボールの位置は適切か(遠くなっていないか。近くなっていないか)。

上級者になると、この他にスタンスの幅、体の重心のバランス(前後、左右、上下)なども加わってくると思います。そして意外に忘れがちなのが、アドレスの時間です。一般的に調子がよいときは、アドレスにかける時間は短く、手順もシンプルです。そして調子が悪くなってくると、アドレスが長くなりがちです。数秒長くなるだけで身体は固まっていきます。

このようにお伝えすると、アドレスだけでもいかにチェックポイントが多いか分かると思います。「立ち方」は、すべてのスポーツにいえる原点だと思います。

悩んだら、いきなりスウィングを直そうとするのではなく、まずは基本に立ち返りましょう。多くの場合、技術的な問題ではなく、何か忘れているだけなのです。でも、ゴルファーの心理として、焦ったりムキになったときほど、大事なことを忘れるのです。また、基本に戻るのではなく、新たなことをやろうとするのです。そういう時は、多くの場合、ミスを繰り返すという負のスパイラルに陥りがちです。

本来の基本を忘れて、他のことをいじってしまうとさらに悩みは深まっていきます。違和感を感じたら、まず基本を思い出すというのも大事なメンタルトレーニングのテーマです。

人は何かに取り組もうとすると、「基本」を忘れがちです。基本とはまず立ち方。また、つい小手先の動きになってしまうという方は、身体で打つことが基本といえます。結果に意識が行ってしまう方は、ボールをしっかりと見ることが基本です。あなたの基本とは何でしょうか。もう一度考えてみましょう。そして、ラウンド中に悩んだら、「忘れていることはないか」と自分に問いかけましょう。「忘れがちな基本」をメモに書いておいて、見直すのもいいと思います。基本に戻ると、何か発見があるはずです。