ちなみに皆さんは人との距離感をとるのが上手い方ですか?それとも近すぎたり、遠過ぎたりといい距離感をとるのが苦手な方でしょうか?

人も変われば、状況も場も変わる中で、こういう距離が正解という答えがあるわけではありません。だから、なかなか難しい。

ちなみに人間関係で距離感をとるのが上手い人は、お互いの間にある空気を感じられています。どれくらいの距離感がいいか直感的に分かるのです。一方で、距離感を取るのが苦手な人は、この空気が読めません。

人間関係の距離感とは自分を意識しすぎても、相手を意識しすぎてもバランスがよくありません。いかにお互いの「間」を感じられるか。

「間」とはスポーツでも非常に大事になります。

ゴルフで「間」とは距離感です。また、野球では相手の投手との「間」です。間が上手く感じられていれば、いいリズムが生まれます。

一方で、頭で考えようとすると「間」は分からなくなります。あるいは、自分だけを意識しすぎても、相手を意識しすぎてもタイミングやリズムはずれます。

禅メンタルトレーニングでは、まさに「空気を読む」というように、空気の存在を感じる練習をしていきます。

空気ほど当たり前にありますが、見えていないものはありません。見えるものばかりにフォーカスして、見えないから練習しないでは、感性を磨くことが出来ません。

たとえばゴルフにおいて選手の多くは、30ヤードのアプローチは30ヤードだけを集中的に練習しています。これは効果的なようで、実は偏った練習といえます。

レッスン本には、それぞれのスウィングの距離を知ることが大事と書かれています。サンドウェッジのハーフショットは30ヤード、スリークォーターは50ヤード、フルスウィングは60ヤードという目安を知っておくというものです。

確かにスウィングで距離を作るという練習はとても有効だと思います。ただ、これではイメージが湧かないゴルファーも多いのです。あるいは、どんなに距離の練習をしていても、本番で緊張した中で、その通りには打てません。本番では30ヤードの距離感が合わない原因はそこにあります。

打てないから、もっとスウィングを固めていくと、どんどん距離感という感性は失われていきます。これは、成功か失敗という2つに囚われたプレーだからです。

本番で緊張したときも、いかに身体が表現できる距離感を持てるか。

週刊ゴルフダイジェストに連載中のメンタルトレーニングのコラム「禅の境地へ」第164回のテーマは「距離感の作り方」です。

距離とは、心や身体の状況によって、遠くも近くもなるのです。

100ヤードが得意なゴルファーは距離を近く感じるかもしれません。一方で、1メートルでもショートパットが苦手なゴルファーは100ヤードよりも遠く感じるかもしれません。

距離とはメジャーで測れば一定のようですが、距離とは実は自分と相手の関係性の中で揺らぐものなのです。

距離は一緒なのか、距離は変わるのか。

距離へのゼロポイントをどこにおいておくのかによって、練習法も取り組み方もまったく変わってきます。

たとえば、30ヤードのアプローチショットを練習するのに、40ヤードと20ヤードを打ってみましょう。やってみると分かるのですが、30ヤードしか練習していないゴルファーは、なかなか身体が動きません。

40ヤードと20ヤードを交互に練習する中で、自然に「間」という感覚が生まれてきます。これが「間」の30ヤードです。身体が距離をイメージできるようになっていくのです。間の30ヤードは、身体が距離を知っているので、本番に強い。

これが揺らぐことを前提にした本番に即した練習です。

興味のある方は、ご覧ください。