メンタルトレーニングのコラムを連載中の週刊ゴルフダイジェスト、今週のテーマは「18ホールのメリハリ」です。

前回は1ホールごとの勝負の懸けどころについてお伝えしました。今回は18ホールでのメリハリについてのメンタルトレーニングです。ゴルフのようにプレー時間が長いスポーツの場合、ずっと力を入れ続けていると、必ず途中でゆるむときがきます。攻めてばかり、あるいは守りばかりだと、プレーは単調になり、大きなミスが生まれたりします。

バーディかパーを狙う攻めのホール、ボギーかダボでしのぎたい守りのホールをあらかじめ決めておき、スコアカードに記入していきます。ホールごとにティーショットの前に、スコアカードでそのホールの目標スコアを確認し、攻略方法を考えるのです。

勝負を賭けるポイントは、1ホールにつき1つにしましょう。ティーイングエリアに立った時に、勝負の1プレーを決めておくのもいいですし、プレーする中で、ここで勝負を懸けると決めるのもいいと思います。いずれにしても、1ホールにつき1プレーの勝負どころを決めることで、プレーの質はかなり変わってくると思います。しかし、勝負を懸けたアプローチやパターが上手くいかない場合も最初は多いと思います。でも、それでいいのです。勝負の懸けどころを知ることで、それを重点的に練習していくのです。きっと練習にもメリハリがついてくると思います。これがメンタルの成長です。

ちなみにプロゴルファーとのメンタルトレーニングでは、勝負勘を磨くために「バーディをいくつとれるか」という結果にとことんこだわった練習ラウンドをします。全ホールバーディを獲ることを意識して、すべてピンデッドに狙っていくのです。ショートカットなどイチかバチかのプレーもやっていきます。ミスをしてもOK。とことん攻めるのです。普段の試合では、どうしても結果にこだわる中で、大きなミスしては駄目だという守りの意識になりがちだからです。安全なプレーは出来るかもしれませんが、これでは、勝負勘が鈍っていきます。

アマチュアの方の場合は、「パーをいくつとれるか」というラウンドが効果的です。これは、ミスをしてもそこからプレーを立て直し、何とかパーで上がるために工夫するのが目的です。100切りを狙う方は、「いくつボギーで上がれるか」という目標設定もいいと思います。そうすると、普段はドライバーばかり打っていたのが、ユーティリティやアイアンに変わるなど、いろいろな攻め方が見えてくるはずです。ただ、漠然といいスコアであがりたいと思っていても、勝負勘はつきません。とことんスコアにこだわって、攻め方を工夫していくことが大事です。

プロゴルファーでも、ストロークプレーが得意な選手とマッチプレーで燃える選手がいます。同じゴルフでもまったく違うプレーといえます。アマチュアの方もスコアで競うのもいいですが、たまにはバーディ数かパーの数で競ってみましょう。また、違うゴルフの楽しみが生まれると思います。プレーの幅を楽しみながら広げていくのも、大事なメンタルトレーニングです。

ただ、注意が必要なのは、スコアばかりにこだわっていると徐々にスウィングが小さく粗くなっていきます。なので「スコアにこだわるラウンド」と「気持ちよくプレーするラウンド」を交互にやっていきましょう。気持ちよくプレーするとは、どれだけ気持ちよく振れたかだけを大事にするのが目的です。結果とはタスク、タスクにばかりこだわると、スウィングするという本来の楽しさがなくなっていくからです。プロセスを楽しめてこそ、いいフィーリングでプレーできます。